経理初心者向け!経費申請とは?スムーズな方法や注意点をわかりやすく解説します。
「経費申請」というワードはよく聞きますよね。
ただ、経理担当として経費申請の運用側になった場合、何をどうすれば良いのでしょうか?
経理担当になったばかりの方向けに、経費申請についてわかりやすく徹底解説します!
この記事でわかること
- 経費申請の基本から具体的な運用方法
- 経費申請における注意ポイント
1. 経費申請の基本
1.1 経費申請とは?経費精算との違い
経費申請とは、業務に関わる費用を従業員が立て替えた場合、その費用を精算をするために、従業員に申請をしてもらうことです。
つまり、経費精算とは主語が異なります。
経費申請:従業員が経費を申請すること
経費精算:経費申請に基づいて、経理担当が精算をすること
1.2 経費申請の基本的な流れ
① 申請をあげる
まずは、経費の申請を従業員があげます。
最近では、経費申請ツールなどを使って申請をあげることが多いでしょう。
申請をあげてもらう際には、「いつまでに」「どのように」申請をあげるのか、しっかりルールを明示することが重要です。
② 承認を行う
申請を上げてもらったら、次は承認プロセスに入ります。
多くは、その申請者の上司にあたる人が承認を行います。
この承認も、最近ではツール上で行うことがほとんです。
従業員数が少ない企業では、承認を経理担当や社長が行うパターンもあります。
この際、以下のポイントを確認してもらうよう承認者へ連携しておきましょう。
- 領収書が必要なものは領収書が添付されているか
- 領収書の内容(金額や日付)と申請内容が合っている
- そもそも経費の内容が承認に値する内容か否か
承認者の人たちに、「承認してください」とだけ依頼しても、何を確認すべきか悩んでしまうでしょう。
どこをどう確認して欲しいのか丁寧に伝えるコミュニケーションが大切です。
③ 経理担当が確認
承認プロセスを経たら、最終確認です。
先ほどのチェックポイントが問題ないか、経理担当が最終チェックをしましょう。
また、領収書の原本も回収し、適切に保管をしましょう。
④ 精算する
申請内容に問題がなければ、最後は精算です。
一般的には給与の支払いタイミングと一緒に支払うことが多いです。
月末締め翌月25日支払いの企業であれば、
5月分の経費を6月25日支払いの給与と一緒に支払ます。
1.3 経費申請の申請期日はいつが良いか
経費申請はいつまでにする必要があるのでしょうか?
この期日は、企業の月次締め作業に紐づきます。
例えば、5月の月次締めを6月15日までに完了させたいと仮定しましょう。
その場合は、6月の月初3営業日くらいまでには申請をあげてもらうのが良いでしょう。
なぜならば、申請をあげたのち、承認プロセスや経理担当により確認プロセスがあるからです。
また、経費精算だけではなく、月次締めのためにすることはたくさんあります。
その点も踏まえると、月初3営業日までには申請をあげてもらうと、その後のプロセスがスムーズになります。
※企業によっては、月初1営業日までに申請をあげるとルール決めしているところもあります。
(関連記事)経理の具体的な業務内容については以下の記事をご覧ください。
2. 経費申請の代表例と申請方法
2.1 交通費の申請
交通費は最も多い申請の一つでしょう。
例えば、営業で訪問先へ行く際などが該当します。
※通勤の際の交通費は、金額が定額である場合が多いので、経費申請ではなく通勤手当として支給している企業が多いです。
ここで、交通費の申請時に領収書は必要でしょうか?
結論としては、「領収書はなくても精算できる」です。
と言うのも、租税法では、交通費の場合領収書が発行されない場合もあるため、領収書なしで交通費精算することも認められています。
また、消費税法では「3万円未満(税込み)の場合、領収書の提出は不要」と規定されているため、3万円未満の少額であれば領収書は不要です。
ただ、企業のルールとして、電車、バスは領収書なしでOKで、タクシーや新幹線・航空券は必要とするパターンが多く見られます。
企業側の決めの問題になりますが、不正を防ぐためや、税務署の監査が入った時の対応としても、企業のルールとして交通手段によっては領収書を出してもらうのが良いでしょう。
2.2 備品購入費の申請
備品購入費も申請としてよくあがるものの一つです。
こちらも領収書は必須で提出してもらうようにしましょう。
また、金額によっては事前承認を設ける場合があります。
例えば、備品購入費として、1万円を超える購入があり、後から申請をされても内容を承認できない場合もあります。
目安としては、5,000円未満が備品購入費として妥当でしょう。
2.3 接待交際費・会議費の申請
最後に、接待交際費と会議費も申請として多くあるので押さえておきましょう。
接待交際費と会議費の違いは、一人5,000円以下であれば「会議費」、それ以上であれば「接待交際費」と覚えておいたら一旦OKです。
ここも企業によっては、ルールが異なったりするので、ルールを確認して処理を行いましょう。
また、上記の分け方が適用されるためには、以下の内容を記載の上申請を上げてもらうことが必要です。
- 飲食等のあった年月日
- 飲食等に参加した得意先、仕入先その他事業に関係のある者等の氏名または名称およびその関係
- 飲食等に参加した者の数
- その飲食等に要した費用の額、飲食店等の名称および所在地(店舗がない等の理由で名称または所在地が明らかでないときは、領収書等に記載された支払先の氏名または名称、住所等)
- その他飲食等に要した費用であることを明らかにするために必要な事項
これらの内容は、税務会計上、損金に算入するために必要な内容となります。
(関連記事)損金に関する詳細は以下の記事をご覧ください。
3. 経費申請における注意点
3.1 領収書の管理
経費申請において、領収書は非常に重要です。
電子データで発行された領収書の申請の場合、原本は不要
電子データで発行された領収書で申請があった場合は、原本は不要でデータのまま保管することが義務化されています。
印刷して保管することは認められていないので、電子データの領収書を受け取る際は注意しましょう。
電子データ以外の領収書の原本はどうする?
電子データ以外の領収書は、原本の保管が必要です。
重要書類にあたりますので、保管期間は、確定申告の提出期限の翌日を基準として、青色申告では7年間、白色申告では5年間です。
(関連記事)重要書類に関する詳細は以下の記事をご覧ください。
一方で、2022年1月からは、要件を満たして電子化されていれば領収書の原本を破棄できるようになりました。
電子化の要件としては、以下があります。
- 入力期間の制限を満たしている
- 解像度が200dpi相当以上である
- 赤・緑・青の階調が各256階調以上である
- 入力期間内に認定のタイムスタンプが押されている(スキャナ保存システムでタイムスタンプを省略できる場合は不要)
- システムでバージョン管理ができる
- システムに検索機能が搭載されている
- システムで入力者の情報を確認できる
- データと帳簿を紐付けられる
- データを即座に明瞭に印刷できる
- データを検索できる
- システムのマニュアルが用意されている
かなり細かく要件が決まっているので、もし対応するとなると、経費申請システムの導入が必須となるでしょう。
電子帳簿法に対応した経費申請システムであるかどうかを確認の上、導入を検討しましょう。
3.2 承認者とのコミュニケーション
申請が期日までにあがっても、
「その後の承認者がなかなか承認してくれない」
「確認してほしいポイントを確認することなく承認をしてしまう」
といったことは多くあります。
承認者に対して、いつまでに何を確認して欲しいのか、密にコミュニケーションをとっておくことが、経理業務をスムーズに行うポイントです。
3.3 明確なルールの明示
領収書が必要なのかどうか、何を記載する必要があるのか、いつまでに申請をあげるのか
これらのルールを明確にし、従業員へ周知しましょう。
経費申請は毎日することではなく、月1回くらいしかやる機会のない業務です。
経理担当サイドは理解をしていても、現場の皆さんはやり方を忘れていることが多いです。
ですので、やり方をマニュアル化して、いつでも見返すことができるような場所に明示しておきましょう!
4. まとめ
今回は、経費申請に関して基本から運用のポイントを解説しました!
ポイントをおさらいしておきましょう。
- 経費申請とは、従業員が立て替えた業務に関わる支払を申請すること
- 経費精算とは、経費申請に基づき経理担当が精算を行うこと
- 原則領収書は必要だが、電子データや要件によっては領収書が不要な場合もある
- スムーズに業務を進めるために、承認者とは密にコミュニケーションすることがポイント
- 経費申請におけるルールを明確化し、従業員がいつでも確認できるような体制にしておきましょう