最近耳にすることが多くなった「キャリア採用」。
中途採用とは具体的にどのように違うのでしょうか?
キャリア採用のメリット・デメリットから、採用の成功の秘訣まで徹底解説します!
「キャリア採用」とは?中途採用との違いから、採用成功の秘訣まで徹底解説します!
この記事でわかること
- キャリア採用の定義
- 中途採用との違い
- キャリア採用成功の秘訣
1. キャリア採用とは?中途採用との違いを明確に理解しよう
1.1 キャリア採用とは?
キャリア採用とは、募集をする企業と同じ業種または職種の経験を豊富に持っている人材を対象とした採用手法のことです。
反対語は、ポテンシャル採用です。
一方で、中途採用とは、社会人を対象とした採用手法で、スキルや経験に関わらず、転職活動している人全員を対象としています。
反対語は、新卒採用です。
キャリア採用:同じ職種や業種の経験者が採用対象。⇔ ポテンシャル採用
中途採用:転職活動をしている社会人全員が採用対象。⇔ 新卒採用
中途採用とキャリア採用の一番の違いは、求められる経験やスキルの幅です。
中途採用では、第二新卒なども含まれ、未経験OKから経験必須まで幅広いスキルの求人票があります。
一方で、キャリア採用では、明確に「〇〇のスキルがある人」「〇〇業界の経験がある人」と明示していることが多く、具体的なスキルや経験を記載した求人票が多いです。
中途採用に比べてキャリア採用の方が高度な人材を得ることができることが特徴です。
1.2 キャリア採用のメリット
キャリア採用には、主に二つのメリットがあります。
育成コストが低く、短期間で事業を加速させることができる
自社と同じ業界やその職種における経験を豊富に有しているのがキャリア採用です。
ですので、入社後の育成やオンボーディングが、比較的短い期間で終了できます。
入社後、短い期間で現場に出て成果を上げることにより、事業を一気に加速させ、企業に大きなインパクトを与えてくれるでしょう。
他社で培った柔軟な発想や新たな視点を取り入れられる
キャリア採用で採用した人材は、他の企業で豊富な経験を積んでおり、外部から新しい発想やアイデアをもたらしてくれます。
その結果、様々な課題に対して多様な視点からアプローチをすることができ、企業として業界内外での競争力や市場価値の向上につながります。
1.3 キャリア採用のデメリット
メリットがあれば、やはりデメリットもあります。
以下に、キャリア採用のデメリットを三つ説明します。
高い採用コストや報酬が必要になることがある
経験豊富な人材を獲得するということは、給与が高くなる可能性が高いです。
また、採用するための採用費も膨らむ傾向があります。
例えば、人材紹介エージェントを使って採用した場合、年収の35%を成果報酬として支払います。(※成果報酬の%は、エージェントによって異なります。)
つまり、提示年収が上がれば上がるほど、採用費が膨らんでいくのです。
採用に時間がかかる
経験豊富で優秀な人材は、どの企業も欲しい人材です。
また、そのような人材は現在の会社で活躍している人材がほとんどなので、転職市場に出てこない可能性もあります。
キャリア採用は、競争率が高く、潜在層にもアプローチするような採用戦略が必要となる採用なのです。
その結果、求める経験やスキル次第では、最低でも半年、長くて1年以上の年月をかけないと獲得できないこともあります。
社風やカルチャーとのミスマッチが起こることがある
様々な企業で経験を積んできた方は、過去の経験や職場の文化に影響を受けています。
そのため、彼らが新しい組織の文化や価値観に適合するかどうかがやや不透明な場合があります。
過去の影響が強すぎて、新しい環境に馴染めなかったり、ハレーションを生んでしまう可能性があることも危惧しておきましょう。
2. キャリア採用が注目されている背景
なぜ、近年キャリア採用が注目されているのでしょうか?
主に、以下の二つの理由が挙げられます。
2.1 転職需要の増加
これまでは、新卒で入社した会社で経験やスキルを身につけ、社内でジョブローテーションという形で他の職種にチャレンジすることが一般的でした。
しかし近年では、より理想の環境を求めて、転職を繰り返しながらスキルや経験をアップさせていくことが当たり前になってきました。
2023年の総務省統計局の労働力調査によると、2023年の転職者数は328百万人と、前年より25万人増加しています。
10年前の2013年と比較すると、41万人増加しています。
コロナ禍の2019年〜2021年は減少傾向にありますが、その以外の年は増加を続けています。
転職需要の高まりに伴って、企業も社内で時間をかけて育てるのではなく、すでにスキルや経験のある人材を外部から採用する動きが活発化してきました。
2.2 ジョブ型雇用の広まり
ジョブ型雇用とは、従来の職務内容を限定しない働き方(メンバーシップ型雇用)とは異なり、企業が従業員に対して、職務内容を明確に定義して採用し、職務や役割で評価をする雇用制度のことです。
欧米諸国では広く普及しているものの、日本では長らくメンバーシップ型雇用を採用している企業が多くありました。
しかし近年、人材不足や海外企業との競争力低下など様々な観点から日本でもジョブ型雇用に対する意識が高まってきています。
パーソル総合研究所の調査によると、ジョブ型人事制度の「導入を検討している(導入予定を含む)」とジョブ型人事制度が「すでに導入されている」企業の合計の割合は、57.6%と半数を超えています。
ジョブ型雇用は、スキルや経験を重視する雇用制度であり、キャリア採用を進める大きな要因になっていると言えるでしょう。
2.3 急速なIT化による変化
急速なIT化に伴い、デジタル技術や情報技術に関連する仕事や職種の需要が増加しています。
企業は競争力を維持・向上させるために、すでに優れた技術を持っている人や、専門家を素早く採用する必要があります。
また、新たな技術やツールの導入が加速しており、それらを扱うだけのスキルや知識を持つ人材も求められています。
3. キャリア採用の導入が多い職種
3.1 エンジニアなどの技術職
IT業界やエンジニアリング、ソフトウェア開発、データサイエンスなどの技術職では、急速な技術革新やデジタル化に伴い、専門的なスキルや知識が求められます。
そのため、経験豊富な候補者を迅速に採用するために、キャリア採用が多く見られます。
3.2 金融・コンサルティング
金融業界やコンサルティングファームでは、高度な専門知識や豊富な経験が必要とされる場合があります。
特に、マネジメントコンサルタントや投資銀行家などの職種では、キャリア採用が一般的です。
3.3 法律・法務
法律や法務分野では、法的知識や経験が重要です。
特に大手法律事務所や企業の法務部門では、経験豊富な弁護士や法律顧問をキャリア採用で採用することが多いです。
3.4 マーケティング・広告関連
マーケティングや広告業界では、消費者行動や市場トレンドを理解し、効果的なキャンペーンを実施するための経験が求められます。
経験豊富なマーケティングプロフェッショナルを採用するために、キャリア採用が行われることがあります。
4. 企業がキャリア採用を成功させるためのポイント
4.1 求めるスキルや経験を明確にする
キャリア採用で最も重要なポイントは、求めるスキルと経験を明確することです。
ここがズレていると、採用できたとしてもその人が活躍することは難しいでしょう。
最悪の場合、短期退職を招いてしまう可能性もあります。
現場の人に求めるスキルや経験についてしっかりヒアリングを行い、ターゲット像(=採用ペルソナ)を明確にすることが重要です。
採用ペルソナの設計方法については、こちらの記事をご覧ください。
4.2 ターゲットにあった採用チャネルを使って採用活動する
ターゲットが明確になったとしても、採用チャネルが適切でなければ、欲しい人物に自社を知ってもらい応募を獲得することはできません。
ターゲットとなる人材がどのチャネルにいるのか、採用市場はどうか、などを調べた上で採用チャネルを決定しましょう。
各採用チャネルの特徴などは以下の記事をご覧ください。
4.3 キャリア採用であっても人柄や思考性もしっかり見極める
キャリア採用の面接では、スキルやこれまでの経験に重きをおいて質問をしがちです。
ですが、自社の社風やカルチャーにマッチするかどうか次第で入社後のパフォーマンスが変わりますので、人柄を見極める質問もしっかり行いましょう。
また、今後のキャリアについても確認しましょう。
その上で、自社であればどのような環境や機会を提供できるかをアピールすることで、自社への意向度を上げることにつがながります。
4.4 オンボーディングや研修を省きすぎない
スキルや経験があるからといって、オンボーディングや研修を省きすぎないようにしましょう。
企業戦略や方向性など開示できる情報は全て開示することで、その人が入社後、より短期間で成果を出すことにつながります。
5. まとめ
今回はキャリア採用について、メリット・デメリットから採用成功のポイントをお伝えしました!
- キャリア採用とは、募集をする企業と同じ業種または職種の経験を豊富に持っている人材を対象とした採用手法のこと
- キャリア採用には、事業を加速させるなどメリットがあるがデメリットもある
- キャリア採用の成功には、ペルソナを設計し適切な採用チャネルを選ぶ必要がある
ジョブ型雇用が広まりキャリア採用に注目が集まっています。
メリット・デメリットを理解した上で、自社の採用戦略に組み込んでみましょう!